就農から3年半。自分らしさを畑に込めて、多彩な野菜づくりに挑戦中。 – とれたて仙台 仙台の大地の贈り物

生産者インタビューNo.21
就農から3年半。
自分らしさを畑に込めて、多彩な野菜づくりに挑戦中。

【 仙台市太白区 】紫夏(シカ)農園 沼田 勇士 さん

やりがいを求めて、新規就農の道へ

太白区茂庭台の住宅街からほど近く。きちんと手の行き届いた畑でニンジンの収穫作業をしていたのは「紫夏農園」を営む沼田勇士さんです。地区内に点在する畑は、借り受けて活用している農地も含めて、すべて合わせると約75a。さらに4棟のハウスを使い、年間で約30〜40品目の野菜を育てています。

「この地域はあまり農業が盛んではないので、すぐ相談できる人も少ないのですが、わからないことはYouTubeで調べたり、Instagramでつながった農家の方に教えていただいたりしています」。

そう話す沼田さんですが、大学卒業後は東京の飲料メーカーに勤務していました。しかし、新型コロナウイルス感染症流行をきっかけに「このままこの仕事を続けていいのか」と、将来を見つめ直す時間が増えたといいます。「組織の中では、自分の考えを反映させられない場面が多かったんです。もっと自分の裁量で働き、やりがいを感じられる仕事をしたいと思うようになりました」。

そこで沼田さんが志したのが、新規就農の道。実家が米を栽培する兼業農家だったということもあり、「大学生の頃から農業には興味があった」という沼田さん。2021年に仙台農業改良普及センターの紹介を受け、太白区秋保地区で農薬や化学肥料を使用せずに農作物を栽培する「仙台秋保くまっこ農園」で研修を重ねました。

「1年間秋保に通い、農業の基本をゼロから学びました。なかでも鮮度の大切さは強く心に残っています。紫夏(シカ)農園という屋号も、くまっこ農園への思いを込めて名付けました」。そして2022年6月。研修を終えた沼田さんは、新規就農を果たしました。

紫夏農園らしい、めずらしい野菜も

現在、沼田さんが栽培する野菜の半分はオーソドックスなもの、そして残りの半分はカラフルで個性的な品種のもの。取材時には、一般的なケールと比べて苦みやえぐみが少なく、ビタミンやミネラルが豊富な「カリーノケールⓇ」をはじめ、旬を迎えた「わさび菜」、鮮やかな赤色が目をひく大根「紅くるり」、ビーツの仲間で軸の色がカラフルな「スイスチャード」といっためずらしい野菜が栽培されていました。

沼田さんは「夏には枝豆やトウモロコシ、冬にはニンジンや大根、ネギなど定番の野菜に加えて、他の農家との差別化や紫夏農園らしさを出すために、変わった品種も作るようにしています」と教えてくれました。

それらの野菜は近隣や市内中心部のスーパーマーケットの他に、自宅の前に設置した無人直売所にも並べられます。直売所には近隣の方が次々と訪れ、カラフルな野菜を組み合わせたサラダセットがよく売れていました。めずらしい野菜にはPOPも添えられ、その特徴やおすすめの食べ方がひと目でわかります。「食べ方がわからないと手にとりにくい。少しでも選びやすくなればと思って」と沼田さん。優しい気遣いが感じられました。

また、その中には品質は変わらないものの少し形が崩れた“わけあり”野菜も。「畑の広さが限られているので、廃棄が出ないように計画していますが、スーパーなどに出せない規格外のものを並べて、ロスを減らすようにしています」と沼田さん。「まずは今の栽培を安定させるのが第一ですが、いずれは直売所を拡張して、栽培した芋で焼き芋を販売するのも楽しいかなと思っています」と構想を明かしてくれました。

SNSを使って、野菜の魅力を広く発信

無人直売所という直接的なつながりを大切にしつつ、沼田さんはInstagramや公式LINEによる情報発信にも力を入れています。SNSには苦手意識があるそうですが、収穫した野菜の魅力や、農園の活動の様子などをこまめに更新してみると、意外な反応があったそう。「若い方だけではなく50〜60代の方もInstagramやLINEをチェックして直売所に来てくれるので、本当にうれしいですね。トウモロコシや枝豆といった人気のものを載せると、遠方から買いに来てくれる方もいます」。

就農から約3年半。かつては「農家は収入が厳しそう」というイメージがあったという沼田さんですが、栽培技術の向上やInstagramでの発信が実を結び、生産量も売上も年々伸びているといいます。「夏の暑さや冬の寒さの中での作業は、会社員時代とは比べものにならないほど大変です。ただ、時間の使い方は自分次第ですし、がんばりが成果に直結する。その実感が大きなやりがいになっています」と振り返りました。

最後にメッセージをお願いすると、沼田さんは「新鮮な野菜を皆さんに届けられるよう日々励んでいます。直売所ではより採れたての野菜をご用意していますので、ぜひ一度お立ち寄りいただけたらうれしいです」と笑顔で語ってくれました。つながってくれたお客様を大切に、真摯に農業に向き合う。沼田さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

生産者インタビュー 一覧

この記事をシェア