都市農業は鮮度と質で勝負今朝採りトウモロコシ – とれたて仙台 仙台の大地の贈り物

生産者インタビューNo.05
都市農業は鮮度と質で勝負
今朝採りトウモロコシ

【 仙台市宮城野区 】トータスファーム 相原美穂さん

生産者の想いを食べる人へ
企画力・発信力を学ぶ

宮城野区福室、七北田川沿いに相原美穂さんの自宅があります。すぐ目の前で栽培するのは、味の良さで人気が高い、白い実のトウモロコシ「白いおおもの」。同区新浜地区にあるメインの畑を含めて8 月初めには収穫・販売をほぼ終えました。

江戸時代から10 代以上続く農家に生まれた相原さん。北海道の農業系大学を卒業後、仙台の卸売市場へ就職しました。仕事を通して痛感したのは、地産地消が比較的うまく廻っている仙台でも、生産者の想いや努力、工夫がいまだ消費者に十分に伝わらない実情でした。そこで、企画力や発信力を身につけようと日本農業経営大学校(東京)へ入学。2年間学んで地元へ戻り、2015 年に就農しました。

鮮度と質で勝負
“都市農業”の強み生かす

学びを生かして目指したのは、生産者から小売業者、食べる人へのつながりを大切にする農業。小規模でも、手と目をかけて質の高い野菜を育て、理解のある店に扱ってもらい、地元の人に手に取ってもらいたい。消費者と生産者が近い“ 都市農業” だからこそ、それができると考えました。距離が近いメリットを生かすため、鮮度で差がつくトウモロコシやレタス、ブロッコリーなどを主力に据え、販路も自ら開拓します。

「自分が食べたい、家族に食べさせたい野菜」を意識する相原さん。農薬や化学肥料をできるだけ減らすため、作物の様子を常によく観察して“ ここぞ” というときに限定して使うそう。たい肥を活用して、地道な土壌改良にも取り組んでいます。

地域の若手とともに
ビジョン明確に成長したい

東部沿岸地域は震災後、農地のほ場整備が進み、周辺には新規就農も含め若手生産者が多くいます。「みんな志が高く意欲的。手を貸しあったり情報交換したり、新しいチャレンジをしたり、楽しいですよ」。しかし「大消費地に近いことに、あぐらをかいてはいけない」と気を引き締めます。「なぜその作物を作るのか、なぜその店に出すのか。一人ひとりがビジョンを明確にし、地区全体が産地として成長しなければ」。

今後は「イチゴ栽培に挑戦したいし、新しく造ったコンテナハウスの活用もいろいろ考えています。父が取り組んできた、うちの米と地元企業のコラボも広げたい」と目を輝かせます。頭の中ではたくさんの夢が育っているようです。

地域の同世代との交流を大切にする相原さん。「私を含め新規就農者も経験を積んで、気持ちにゆとりが出てきた。このあたりの農業はもっと面白くなりますよ」と未来を見据えます。

【 トウモロコシ 】

トウモロコシは、糖を蓄えて日中に光合成のエネルギーとして使用するため、朝に収穫すると、糖を蓄えたままの甘いトウモロコシになります。
トータスファームさんでの出荷は、例年7月下旬から8月中旬頃。出荷のピーク時には朝4時から一日500~1000本を収穫し、今朝採りで販売しています。
せっかくの甘さを楽しむには、ぜひ買ったその日のうちに食卓へ。

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